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​クロロカンナ

実家はパン屋だった。

小さい街の、どこにでもあるその風景。

平凡と言えば平凡であるし、

幸せと言えば幸せな家庭だった。

パン屋の朝は早く、いつもいい匂いがした。

その香りにつつまれる街は控えめに言って

幸福だったように思う。

── もう行かなくちゃ

​合図の風は突然に吹いた。

それは気怠い暑さが膜を張る夜だった。
じりじりとした汗の化粧を

誰も止める事ができない。

 

東の空がうっすらと白くなり、
希望と絶望が入り混じった色で

輝いていたのを憶えている。

全てが終わったように感じた。
全てが終わり、

始まっていたのかもしれない。

泣いてるように笑っていた。

憂鬱を消そうともがき出す。
汚れた手で掴んだ幸せは汚れていた。

以上の文はクロロカンナとは

一切、関係ありません。

​神戸中心に関西で活動中。

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